令和8年10月シンガポールより|藤原直哉理事長(収録型)

2026年10月7日(水)〜8日(木)TOKEN2049 SINGAPORE(The World’s Largest Crypto Event) にご参加中の藤原理事長からの現地収録コンテンツ(音声・動画・AI要約)をお届けいたします。


音声mp3はこちらからダウンロード



\AIによる要約です/
*音声自動認識で書き起こしによるAI要約ですので、誤記等が含まれる場合もありますので予めご了承ください。

シンガポールで開かれた世界最大級の暗号資産の国際会議 TOKEN2049 の会場から、その場で受け取ったことを忘れないうちに、と収録されたものです。中心にあるのは「金融リセットとは、法体系を継承しないことだ」という一点です。6つの層に向けてそれぞれ異なる角度から要約しています。どこからお読みいただいても構いません。


小学生のみなさんへ

まず、行ってみた

暗号資産の国際会議に行くのは初めてだった、とお話しされました。2020年に一度行こうとして、コロナで行けなくなり、そのままになっていたそうです。何でも行ってみないとわからないことが多い——そこから今回の話は始まります。

カウンターの内側

銀行には、カウンターがあります。お客さんは、その内側には入れません。薬局もそうです。電車やバスの運転席も、お客さんは入れません。世の中のたいていの場所には、ここから中には入れませんという決まりがあって、その中のことをよく知っている人たちが仕事をしています。

ところが、このカウンターの内側が、だんだん機械に置き換わってきている、とお話しされました。車の自動運転がそうです。役所の手続きも、オンラインでできるようになっています。お金の世界でも、同じことが起きはじめている、と。

インターネットは、どこで地面につくのか

会議のはじめに話した人が、「インターネットをどこでプリントアウトするか」と言ったそうです。不思議な言い方ですが、意味はこうです。インターネットは世界中どこでもつながっているので、では実際にどの国の、どの街に住んで仕事をするのか——そういう問いなのだと。

これまでは、お金の仕事をするならロンドンかニューヨークに行かなければ始まりませんでした。でも会場では、その話が一度も出てこなかったそうです。これからは国を選ぶのではなく、街を選ぶのだ、と。そして「日本の田舎がいいんじゃないか」という声もあったそうです。人が減って、家が余っていくから、と。

動けることが、戦争を止める

その人が最後に言ったのは、こういうことでした。世界の戦争を止めるには、何でも動かせるようにすることがいい。けんかは、動かせないものを取り合うから起きる。だから、どこへでも移れるようにしておくことが、戦争を止めるいい方法なのだ、と。会場で堂々とそういう話をするのを聞いて、驚かれたようです。


中学生のみなさんへ

お金は、何に支えられているのか

お札そのものは紙です。では何がその値打ちを支えているのか——今回の話の軸はここにあります。

昔は金(きん)でした。100年前、世界のお金の中心はイギリスのポンドで、イギリスは「ポンドを持ってくれば金と交換します」と約束していました。だから世界の金融が回っていた、と。1920年代のアメリカの繁栄も、その仕組みの上にあったそうです。

ところが金融が無茶苦茶になり、1931年、イギリスはついに金本位制をやめます。もう金は出さない、という宣言です。ポンドの裏づけから金が外れ、ポンドが暴落し、ドルも暴落し、アメリカは一気に行き詰まりました。その立て直しのために1933年と1934年に証券の法律が作られ、金融の中心がロンドンからニューヨークへ移った——これが今の金融の始まりだ、と整理されます。

そして今、アメリカのドルを支えているのはアメリカ軍だ、と述べます。米軍が世界から引き上げれば、その裏づけが外れる。そのとき次に持ってくるのが、また金なのではないか、と。

カウンターの内側がなくなる

銀行や証券の仕事は、長く勉強して経験を積んだ人たちが、お客さんの入れない「カウンターの内側」で動かしてきました。暗号資産の世界では、そのカウンターの内側がほとんど機械に置き換わる、と。いまならAIエージェントです。会場でも、AIエージェントにどう取り組むかという話が多く出ていたそうです。

街を選ぶ

会議では「インターネットをどこでプリントアウトするか」という言い方が使われたそうです。世界中どこでもできる仕事を、どこに着地させるか。ロンドンでもニューヨークでもなく、これからは国ではなく街を選ぶ、と。従来の拠点はどこも不動産が高くなりすぎた。日本の田舎はどうか、という話も出たそうです(ただし家の改装に相当お金がかかる、とも)。

覚悟のいる時代

結びで述べられたのはこういうことです。これからは、自分の財産がどうなるかは、自分が投資した会社がうまくいくかどうかにかかっている。そしてそれは、業界全体、国全体、世界全体がどうなるかにつながっている。「何があってもあなたの財産だけは守られる」という話は、もうない、と。


高校生のみなさんへ

金融リセットとは、法体系を継承しないこと

今回の中心はここです。会場で最初に強く感じたのは、「法体系を継承しない」という点だった、と述べます。

ビジネスの法律の源流はローマ法です。財産についての規定が非常に細かくできており、今も世界中の法律の基礎になっている。国際金融は、ローマの植民地であったロンドンのシティから始まったので、ローマ法はイギリスへ渡ります。イギリスでは、国王と関係のないところで商売をする市民たちが慣習法を作り上げていきました。

やがて王立の裁判所ができます。ロンドンのストランド、シティの入り口にある王立高等法院。そしてもう一つ、海軍が植民地で開いていた海事裁判所。この二つで何百年にわたって商事の裁判が行われ、膨大な判例が積み上がりました。ここで、商事裁判には陪審員を使わないほうがうまくいくという経験則が確立します。海事裁判所では、陪審員を置かず職業裁判官が即決していたそうです。

この蓄積がアメリカに渡り、デラウェア州に落ち着きます。デラウェアには法の裁判所に加えてエクイティ(衡平法)の裁判所があります。エクイティとは、法の条文どおりに裁くと無茶になる領域のことで、ビジネスにはそういう事柄が多い。イーロン・マスクの巨額報酬をめぐる裁判も、ここに持ち込まれました。だからアメリカでは多くの法人がデラウェア州に設立され、裁判もデラウェア法で行われる。多国籍企業が多いので、ここが事実上、世界のビジネス法として機能してきた、と。

ところが、その商事裁判がテキサスへ移る流れになっている、と述べます。テキサス・ビジネス裁判所が作られ、そこへ商事・金融の裁判が持ち込まれる。しかもここは陪審裁判です。つまり判例を一から作り直すことになる。テキサスの陪審裁判の傾向を考えれば、持ち込まれた時点でおおよその結果は見えている、とも。

これは、ローマから二千年続いてきた法体系を真っ二つに切るということだ——そう位置づけられます。だから今後は、二千年の蓄積ではビジネスを判断できない時代が始まる、と。

1929年 → 1931年 → 1933年、という型

歴史の参照点として置かれるのが、ここです。

いまの証券の仕組みは、1933年の証券法と1934年の証券取引所法で動いています。その前にあったのが1929年の大恐慌で、それまでのアメリカの金融は「西部劇の世界そのもの」だった、と。それでも回っていたのは、イギリスが金本位制をやっていたからです。

1931年、イギリスが金本位制から離脱します。国際金融に担保を出さないという決定です。ポンドが暴落し、ドルも暴落し、アメリカはデフレで行き詰まり、金融システムが止まりました。その後に上院の銀行通貨委員会でペコラ委員会の調査が行われ、証券市場の不正がやがて国家そのものを脅かすという認識が示されます。そこから1933年法・1934年法が生まれ、無数の規則——有名な規則10b-5などが積み上がって今日に至る、と。

重要なのは順番です。イギリスが国際金融から撤退したところから、次の体系が生まれた。 金融の中心が、制度の上でもロンドンからニューヨークへ移った瞬間でした。

今回の担保は、アメリカ軍

同じ型を今にあてはめると、こうなります。いまドルを裏づけているのはアメリカ軍だ、と。米軍が世界から引き上げれば、その担保がドルから外れる。そうなればドルは、ただの赤字国の通貨——かつてのポンドと同じ扱いになる。

そのときアメリカ自身がどうするか。ローマとシティの金融を引き継いだ1933年法・1934年法の世界を投げ打って、まったく新しい分散型の金融でやる。そして次の裏づけとして金を持ってくる。法体系も全部変える。そこまではっきり言う人はいないが、点と点をつなげばそうならざるを得ない、と述べています。

分散型金融が、何から分散しているのか

最近の呼び方はDeFi(Decentralized Finance、分散型金融)で、暗号資産はその中の一つの道具にすぎない、と。そして「分散型」の意味は、ニューヨークとロンドンから離れた金融、ローマ法を継承しない金融と読み替えて間違いない、と述べます。

ではルールはどうするのか。会場の発想は「世界共通の常識に基づく運用」で、それが通らないところではやらない、というものでした。各国に制度変更を求めて回るのではなく、通る場所でやる。通るだろうという見込みの根拠はスマホです。便利であれば世界中で使われる。分散型金融はそのアプリの一つだから、使われないはずがない、と。

利回りのない世界へ

ここが技術的な核心です。金融は利回りを中心に成り立っています。利回りがあるから、現在価値と将来価値を結びつけて計算できる。金融電卓の5つのキー——N・I・PV・PMT・FV——のうち4つを入れれば残る1つが決まる。これが金融技術の核心部分です。

証券(セキュリティ)とは、利回りに基づく将来の約束です。なぜ「安全保障」という語を使うのか。未来の約束だから、適当にやれば必ず破られる。だから当事者が逃げられないように拘束する仕組みが要る——そのための法体系だった、と。

ところがコモディティ(商品)は違います。金も油も銅も、それ自体は金利を生みません。貸し借りをして初めて金利が生まれる。だから期間収益(PMT)がない。利回りがないので、現在価値と将来価値の連結もない。金融理論の核心が、そのままでは成り立たない世界です。不動産は最初から利回りがつくので、これは金融の側に入ります。

そして、暗号資産はこのコモディティの側へ向かっている、と述べます。キャピタルゲインとロスしかない世界です。分かりやすい例として挙げられたのが予測市場のポリマーケットで、1ドルを賭けて「はい」か「いいえ」に乗り、当たれば戻り、外れれば戻らない。途中で値段がつく。金利も期間収益もない。

なぜペイメントがないのかというと、期間収益を約束するには緻密な組織と、情報開示を含む1933年法・1934年法のような法律がどうしても必要になるからだ、と。それがないなら、あとは出す側と受ける側で話し合って決めてください、という世界になる。

だから、ゼロから始めるにはこれ以上いい制度がない——今の金融はローマ法・イギリス法・アメリカ法の厳しい体系の中にあって、無視することも揺るがせることも非常に難しい。それを迂回して一から作るのに、これが最も適している、という見立てです。

イラクからの撤退が象徴するもの

文明論として語られた部分です。四大文明のうち三つが中東・北アフリカにあり、さらに遡ればシュメールの都市文明がある。イラクは文明の発祥地です。一方、物質文明が最後まで栄えたのがアメリカ。

2003年にアメリカがイラクを攻撃したということは、物質文明の最も新しい側が、物質文明の最も古い元を攻撃したということになる。物質文明の自己破壊そのものだ、と。だから世界が注目した。そしていま撤退するということは、食った側も崩れ、物質文明そのものが巨大な転換点に至らざるを得なくなったことを象徴する、と述べます。

経済力も軍事力も圧倒的に上だった側が、目的を達せられなかった。物質だけでは国の強弱は決まらないということの、歴史的な証明だ、と。


大学生のみなさんへ

三層に分けて読む

今回も、観測・制度予測・説明枠組みの三層に分けると整理しやすくなります。

観測にあたるのは、TOKEN2049の出展企業が技術的な「部品」の提供者に集中しており全体設計の担い手が不在であること、主催側の言説に金融センター(ロンドン・ニューヨーク)への言及が現れないこと、マイニング拠点としての中国の閉鎖とカザフスタンの事情、既存拠点の不動産価格、ステーブルコイン決済と既存カード決済網・州認可銀行の組み合わせ、クラウドファンディングの定着。制度予測は、商事裁判管轄のデラウェアからテキサスへの移行、GENIUS法とCLARITY法が1933年法・1934年法に代わる基本法として機能すること、米軍撤退によるドルの裏づけの喪失と金への移行、中央銀行発行デジタル通貨の排除。歴史的アナロジーは、1931年のイギリス金本位制離脱からペコラ委員会を経て1933年法・1934年法に至る過程です。

法源論として読める部分

もっとも分析的に扱えるのがここです。商事法の系譜を、ローマ法 → イギリスの慣習法・王立高等法院・海事裁判所 → デラウェア州法(コモンローとエクイティの二元構成)という継承として描き、その継承が意図的に切断されつつある、と位置づける議論です。

切断の指標として挙げられるのが、陪審の有無です。海事裁判所が職業裁判官による即決を採ったことが商事裁判の効率性を支え、その系譜がデラウェアの衡平法裁判所に至った。これに対しテキサス・ビジネス裁判所は陪審裁判であり、判例の蓄積がゼロから始まる。つまり同じ事案に対する判断の予測可能性が、二千年の蓄積から切り離される。「ローマから二千年続いてきた法体系を真っ二つに切る」という表現は、この予測可能性の断絶を指しています。

なお、デラウェアからテキサスへの移行については、連邦の単一の決定というより州間の管轄競争として進んでいる面があり、この点は要約の段階では誰の決定かを特定せずに記述しています。

制度設計としてのPMT不在

技術的にもっとも示唆が深いのがこの論点です。証券規制の存在理由を、期間収益(PMT)の約束を担保する必要から導く、という構成になっています。すなわち、将来にわたる定期的な支払いを約束する商品は、約束の履行を強制する仕組み——情報開示、受託者責任、罰則——を必然的に要求する。したがって1933年法・1934年法のような体系が生まれる。

逆に、期間収益が存在しない商品(コモディティ、およびキャピタルゲイン・ロスのみで構成される暗号資産)は、その要求から構造的に自由になる。現在価値と将来価値を結ぶ利回りがないため、金融理論の中核装置そのものが適用されない。結果として、規制の論拠が薄くなる。

ここから導かれる含意は二つです。第一に、暗号資産がコモディティとして位置づけられることは、分類上の技術論ではなく規制回避の経路選択である。第二に、既存体系が厳格で迂回困難であるからこそ、新規参入はこの経路を通る——「ゼロから始めるにはこれ以上いい制度がない」という評価は、この構造から出ています。

予測市場をめぐる法的位置づけの争いも、同じ軸上にあります。賭博か、コモディティか、デリバティブか。当事者はデリバティブとしてCFTCの管轄を主張し、気候や電力料金を対象とする既存の先物取引の一種だと位置づける。これに対し賭博とみる州政府もある、という状況が紹介されました。

資金調達の正統性が移動している

クラウドファンディングについての指摘は、制度変化の指標として読めます。1933年法・1934年法の体系を内側から理解した者にとって、不特定多数からの資金調達をあの方式で行うことは不正の典型に見える。にもかかわらず、それが世界中で通用し、日本でも日常になっている。その事実自体が、1933年法・1934年法の体系が縮小し始めている証拠だ、と。

あわせて、エリック・トランプの発言として紹介されたのが、儲かる投資には一般投資家を入れず、結果が不確実な案件に一般大衆を入れてくる、という従来の構図への批判です。トランプ家自身が金融の利用者側であり、だからこそ利用者にとって使いやすい設計に作り替えようとしているのではないか、という見立てが示されました。会場に全体設計の担い手が不在であることが、その推進力の説明として置かれています。

モビリティと平和の議論

主催側から提示されたのが、移動可能性(モビリティ)が戦争を抑止するという命題です。紛争は移動不能な利権の取り合いから生じるのだから、あらゆるものを移動可能にすることが抑止につながる。金融機能を特定の都市から切り離すことが、その一環である——国際金融の中心地で言われる言葉としては異例のものだ、という受け取り方が示されました。

カウンターの内側という概念

組織論として応用の効く比喩です。銀行、調剤薬局、交通機関の運転席、役所の窓口——いずれも顧客を排除した領域があり、その内側の常識を習得した者が運営を担う。この境界が、専門職の存在根拠であると同時に、外部からの検証を遮断する構造にもなっている。

暗号資産とAIエージェントは、この内側を機械に置き換える。したがって問われるのは効率ではなく、内側の常識が担っていた判断を誰が引き受けるのかという点になります。機械の運営自体は人が行うのだから注意が必要だ、という留保も置かれていました。

物質文明の自己破壊という読み

イラク撤退をめぐる議論は、文明論的な解釈として提示されたものです。文明の発祥地に対する、物質文明の最終局面からの攻撃を自己破壊とみる読み。そして、経済力と軍事力で圧倒していた側が目的を達しなかったことを、「物質だけでは国の強弱は決まらない」ことの歴史的証明として位置づける構成です。解釈として受け取るべき層ですが、物質的指標に還元できない国力の要素という論点は、それ自体議論に値します。


社会人のみなさんへ

何が変わろうとしているのか

実務の前提として押さえるべきは、次の三点です。

第一に、資金調達の正統な経路が移動しつつある。既存の証券法体系の外側で不特定多数から資金を集める方法が、例外ではなく日常になりつつあります。クラウドファンディングの定着が、その最も分かりやすい指標として挙げられました。

第二に、商事紛争の予測可能性が変わる可能性がある。商事裁判の管轄がデラウェアからテキサスへ移る流れがあり、後者は陪審裁判です。長年の判例に依拠した見通しが、そのまま使えなくなる領域が出てきます。国際契約の準拠法と紛争解決条項を見直す論点になります。

第三に、カウンターの内側が機械に置き換わる。銀行員や証券担当者が担ってきた領域が、AIエージェントに移っていく。会場でもAIエージェントへの取り組みが主要な話題だったそうです。これは金融に限らず、専門職が顧客を入れない領域を持つ業種すべてに及ぶ変化です。

実務上の論点

  • 決済:ステーブルコインによる国際決済が実装段階に入っている。既存のカード決済網の即時決済機能と、州認可を持つ銀行による一時的な資金預かりを組み合わせる構成が紹介されました。技術以上に、法務と税務が難所になる
  • 調達:証券法の枠外からの資金調達を選択肢として検討する余地。ただし後述のリスクが伴う
  • 運用・財務:期間収益のない商品が中心になるため、利回りを前提にした評価手法が効かない。元本が戻らない前提の資産配分になる
  • 為替:ドルの裏づけが米軍から金へ移行するというシナリオを、中長期の前提に置くかどうかの判断
  • 契約:準拠法・裁判管轄条項の点検。陪審裁判を前提とした紛争コストの見積もり
  • 拠点:「国ではなく街を選ぶ」という発想。従来の金融拠点は不動産コストが高すぎるという認識が共有されており、日本の地方への関心も語られていました(改装コストの大きさも同時に指摘)

押さえておくべきリスク

今回の内容で、実務者がもっとも注意すべきはここです。期間収益がないということは、情報開示や受託者責任を要求する法的根拠が薄いということです。その結果、投資家保護の水準は構造的に低くなります。

この点について、藤原直哉自身も明確に述べています。これからの運用は一か八かしかない。投資先が成功しない限り金は戻らない。賭けが外れたら全損で、それが当たり前だと理解しなさい、と。予測市場と暗号資産のデリバティブが広がれば、賭博との区別もつきにくくなる、とも。

言い換えれば、自己責任の範囲が制度的に拡大する局面です。従来は法が担保していた部分を、投資する側が自分で見極めることになります。

「政府が国民を守る」という前提の終わり

1933年法・1934年法の体系はニューディールであり、政府が国民を守るという仕組みだった、と整理されます。その「守る」という名目のもとで想像を超える不正が行われていた。それが暴かれ、仕組みごと取り潰される。そして原点に戻った世界へ行く——そういうものだと思ってこれからやっていくことだ、と。

財産がどうなるかは、投資した会社がどうなるかにかかっている。そしてそれは業界全体、国全体、世界全体がどうなるかにつながっている。「何があってもあなたの財産だけは守られる」という考え方は、もはやない、と述べています。

全体設計の担い手が不在だということ

事業機会として読める部分です。会場の出展企業はほぼ全てが技術的な「部品」の提供者で、「うちはこれができる」というソリューションを持ち寄っている。しかし国際金融システムは、法律から税制、慣習、信仰まで含む巨大な体系です。その全体をまとめる真ん中が、ほとんどいない。

金融の専門家がほとんどおらず、テクノロジー主導で動いている。だからこそ利用者側の当事者が自ら乗り出さないとまとまらない——トランプ家が前面に出ている理由はそこではないか、という見立てが示されました。

この「部品は揃っているが全体がない」という状況は、そのまま空席の所在を示しています。


シニアのみなさんへ

まず、出かけてみること

暗号資産の国際会議には行ったことがなかった、2020年に一度行こうとしてコロナで行けなくなり、そのままになっていた、と最初に述べられます。そして、何でも行ってみないとわからないことが多いと今回もしみじみ思った、と。

収録も「忘れないうちにまとめておきました」という言葉で結ばれています。その場で受け取ったものを、その場で形にしておく。この部分は、内容とは別に残るところかもしれません。

1931年のこと

今回の歴史の軸は、ここに置かれています。

1920年代のアメリカの繁栄は、イギリスの金本位制の上に成り立っていました。アメリカの金融そのものは「西部劇の世界」で無茶苦茶だったけれど、イギリスが金という担保を出していたから回っていた、と。

1931年、イギリスはついに金本位制から離脱します。もう国際金融に担保は出さないという決定でした。ポンドの裏づけから金が外れ、ポンドが暴落し、ドルも暴落し、アメリカはデフレで行き詰まり、不正が入り込んでいた金融システムが止まりました。

その立て直しとして1933年・1934年に証券の法律が作られます。上院でペコラ委員会の調査が行われ、証券市場の不正がやがて国家そのものを脅かすという認識が示された。そこから無数の規則と判例が積み上がって、今の金融になった——金融の中心が、制度の上でもロンドンからニューヨークへ移った瞬間でした。

そして今度は、アメリカ軍が外れる

いまドルを裏づけているのはアメリカ軍だ、と述べます。米軍が世界から引き上げれば、その担保がドルから外れる。そうなればドルは、ただの赤字国の通貨——かつてのポンドと同じ立場になる。

そして次に持ってくるのが、また金なのではないか、と。あのときイギリスが金を外し、いまアメリカが軍を外す。同じ形が繰り返されている、という読みです。

二千年の法体系が切れる

商売の法律の源流はローマ法です。それがロンドンのシティに渡り、イギリスの裁判所で何百年もかけて判例が積み上がり、アメリカのデラウェア州に受け継がれて、世界のビジネスの法として機能してきました。

その商事裁判が、テキサスへ移る流れになっている、と。しかもそちらは陪審裁判なので、判例を一から作り直すことになる。ローマから二千年続いた蓄積を、真っ二つに切るということだ、と述べています。これまでの常識では商売の判断ができない時代が始まる、と。

「政府が守る」という時代の終わり

ここが、おそらくもっとも重く響く部分です。

1933年法・1934年法の体系はニューディールであり、政府が国民を守る仕組みでした。けれどもその「守る」という名目のもとで、想像を超える不正が行われていた。それがすべて暴かれ、仕組みごと取り潰される。そして原点に戻った世界へ行く、と。

これからは、自分の財産がどうなるかは、自分が投資した先がどうなるかにかかっている。そしてそれは業界全体、国全体、世界全体がどうなるかにつながっている。「何があってもあなたの財産だけは守られる」という考え方は、もはやない、と述べています。

カウンターの内側

銀行の窓口には、お客が入れない内側があります。調剤薬局も、電車の運転席も、役所の窓口も同じです。その内側の常識を身につけた人たちが仕事を担ってきました。

その内側が、機械に置き換わっていく、と。役所の手続きがオンラインで済むようになれば窓口の人は減る。金融も同じで、いまならAIエージェントがそこに入る。長く勉強と経験を積んだ人がいた場所が、そうでなくなる——そういう変化として語られました。

物質だけでは、国の強弱は決まらない

イラクからの撤退について、文明の話として語られた部分です。

四大文明のうち三つが中東・北アフリカにあり、さらに遡ればシュメールの都市文明がある。イラクは文明の発祥地です。一方、物質文明が最後まで栄えたのがアメリカ。2003年の攻撃は、物質文明の最も新しい側が最も古い元を攻撃したことになり、物質文明の自己破壊そのものだった、と。

そして今回の撤退は、食った側も崩れ、物質文明そのものが大きな転換点に至らざるを得なくなったことを象徴する、と。経済力も軍事力も圧倒的に上だった側が、目的を達せられなかった。物質だけでは国の強弱は決まらないということの歴史的な証明が、ここではっきり出た——そう結ばれています。


\第24期総会イベント@東京駅周辺&Zoom/
10月24日(土)13:30〜17:00(*有志懇親会 17:30~19:30)、今期も皆さまとのご縁・交流が深まりますことを運営チーム一同、愉しみにしております。ぜひお気軽にご参加くださいませ。https://nipponsaisei.jp/events/334

NPO法人日本再生プログラム推進フォーラム(NSP)は、NSP会員年会費・ご寄附と、クラウドファンディング2026を原資にアーカイブづくりをしています。ありがとうございます。

2026-10-08

藤原直哉


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