対談 「木造建築で森と街をつないで地域再生」 一般社団法人 天然住宅代表 相根昭典氏

対談 「木造建築で森と街をつないで地域再生」 2013年5月22日
一般社団法人 天然住宅代表 相根昭典氏x 藤原直哉 NPO法人日本再生プログラム推進フォーラム

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(文字お越し)

(藤原)

お聞きの皆様こんちには、この番組はNPO法人日本再生プログラム推進フォーラムの対談です。 きょうは、一般社団法人「天然住宅」代表の相根昭典(さがねあきのり)さんに「木造建築で森と街をつないで地域再生」ということで、いつものように藤原直哉がお話を伺ってまいりたいとおもいます。相根さんこんにちは。

(相根)

はい、こんにちは、相根です。

(藤原)

きょうは大変お忙しいところを、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

(相根)

よろしくお願いいたします。

(藤原)

なかなか日本も木の国と言いながら、林業の問題というのは昔から政府も相当頭を抱えている問題で、そして木がたくさん有る地域も本当に頭を抱えている問題なんですが、その林業の問題につきまして、相根さんが今までずっと真摯な取り組みをしておられるというお話を伺っておりまして、
今日はひとつ天然住宅という言葉の響きもとてもいいと思うんですけれども、まず始めに相根さん、今までやってこられた事、そして今やっておられる事を簡単にご紹介いただけますでしょうか。

(相根)

もともと天然住宅は非営利で、社団法人として5年程前に発足しました。
その前身といいますか設計事務所を持ってまして、それは23年前から造化な暮らしを作りたいというのでエコ建築を目指してやってきました。

当時は自然素材を使うとかシックハウスという言葉もなく、ほとんど日本中普通にしかそのことも知らないような時代だったのですが、当時そのころダイオキシンの問題とかいろいろ浮上し始めて、そこで建築を観ているとそういう環境問題とか木造住宅を造るときに山を見据えてという視点が全くなかったでね。

それで、どうしてもそっちの方に目を向けると結構すごい状況で驚きました。
まず森林は最近でもそうですけれど、毎年1兆円近くの公的資金が投入されて皆さんの税金が使われて、少しも改善されていない、むしろ荒れている。
お金を使えば使う程、むしろ荒れているという酷い状態がいまも続いている。
それは何でかというと、一時は外材のほうが安くて外材に押されて国産材は売れないという状況がありました。

今は逆転していて、国産材の方が安いのに国産材がでていない状況です。
なぜかというと外材は努力をしてきたんですね。
たとえば乾燥の含水率というのがあるんですが、20%以下に落として、製品に加工して、丁寧に規格を合わせて、努力をして持って来ていた。 ところが林産地は昔のスタイルにあぐらをかいて、あまり規格化したり、木材を乾燥させるとか、付加価値をつける努力をしていなかったんですね。

それでどんどんシェアが落ちて、いまや20%以下という状態で、ここ最近ちょっと23〜24%に上がったと林野庁は胸をはっているんですけど、 でも需要はほとんど変わっていなくて、売り上げが下がったから、割合が増えただけで国産木材は全然増えていないんです。 ということがあって、2割以下なんですね、使用されているのは。

江戸時代の写真や絵(浮世絵)などと見比べると、今の日本の山の木材は歴史上希にみるくらいすごい緑の蓄積量で、大体10年以上の需要を満たす位あると言われています。

(藤原)

今の日本で?

(相根)

今の日本です。
だけど使われない。使われないから、どんどん老朽化してきました。
ちょうど戦後に植えられた木が50年くらい経ってきて、それを活用しなけりゃいけないのに活用出来なくて、たくさん密植で植えたのでヒョロヒョロに伸びて、用材として使えない木がいっぱい出来てきた。 それから、密植しているので真っ暗になり下に光が行かなくなって、下草が生えなくなり、生態系が壊れきた。

一番大事なのが保水能力で、最近土砂崩れがすごく多いですが、その根源は そこに有ると言われているんです。 その人工林がCO2を削減するのに最も効果的な筈なのに、50年経つとCO2を吸わなくなるんです。

(藤原)

吸わなくなるんですか

(相根)

それで京都議定書の頃を思い出して頂くと、当時は6%日本で削減しようとして、3.8%を森林で補う、だから省エネしたり、機器開発をしたり、暮らしを質素にしたり頑張ってやって2.2%しか落とせない。というと森林はすごく重要なんです。

国土の7割は森林だと言われていて、その約半分近くは50年程前から人工林で植えた木なんです。
それが今、疲弊して、CO2を吸わなくなっている。 実質3.8%は吸ってない。1.8位でないかと、市民団体の学者の試算があるんです。

(藤原)

二酸化炭素を吸わないというのは、木が成熟し過ぎたんですか?

(相根)

そうです。若い木でないと、吸って酸素を出す光合成をしないんです。
それは余り知られていないんですね。

(藤原)

そうなんですか。初めて伺いました。

(相根)

それは木材学会等ではかなり問題視されているですけれども、世間では余り言われていない。
これ全然無理なんですね。 だから、我々は日本の木を使ってあげるということは、CO2削減にとっても重要だということが言えます。

今は、ほとんど真っ暗で生態系が壊れている森を、CO2換算の森として評価しないという決め事はちゃんと有るんです。 今、日が当たって、生態系があって、保水能力があって、崖崩れしない森はほとんど無いんです。 今は、昔の山紫水明(山は紫で、水は清らかで美しい)という言葉は死語になっています。 最近の30代前半から下の人は山紫水明を知らないのをご存知ですか?

知らないですよね。そういう感じなんですよ。

(藤原)

なるほどなるほど

(相根)

だから40代後半以上にならないと、山紫水明という山を見ていないという、それだけでも判ります。
我々、やっぱり木を使う事が大命題、さらにここから押してくると、この下草とか葉っぱが落ちてフルボ酸を生成するんですね。
そのフルボ酸が土の鉄分とかミネラルをイオン化して、それを川に流して、
海に流して、海藻とか魚とかプランクトンが育成されるですけど、最近海でそれを獲れなくなっていまして、かなり死んでいる海が多いです。
あと磯焼けしたりとか、赤潮とか青潮とか酷い状況なんですけど、
その一番大きな元凶は、ここでイオン化できなくてフルボ酸鉄が出ない。

(藤原)

ああ、じゃあ林が生態系が壊れて、海までおかしくなっていると。

(相根)

連鎖でおかしくなって、海の周りの浅瀬で50m位の光が当たる所に、 魚とか昆布とか、昔食料源が一杯あった訳ですが、それがもう壊滅状態になりつつあり、これは森も大きく関与している。
だから、CO2もそうですし、自分たちの食卓も脅かされる事が一緒に言われていますので、それで我々は山を守るというのは非常に重要な目標にすべきである事から、「天然住宅」を作ったという次第です。

(藤原)

成る程。
そもそも日本は昔、本当に木がなくて、たとえば山林の地方であれば、ちょっとお金が貯まったら山林を買おうと、山を買ってそれが財産になると言われた時代が随分長かったと思います。
もちろん外材に押されたという事もあるとは思いますが、そもそも日本が荒れてしまった理由って他に何かありますか?

(相根)

日本の山って急峻なんですね、それで機械化をしてとか、もしくは切り出した物をトラックとかを横付けしてそれを持ち出す事をシステマティックにやろうという仕組みがなかなか難しかったんですね。
余計に人件費もかかる訳です。人件費は日本はどんどん上がりました。

なので、切り出せば切り出すほど、経費がかかってしまって、1本あたり何千円以上損をしている。 ひょっとすると1立法メートルあたり一万数千円損をする。

木を切り出したら、一時はしっかり儲かって、木材御殿というのが昭和30年頃有りましたけれど、今は逆に木を切り出した人が山主にお金をくださいと、下さいと言わない時は補助金を付ける。 何も無い、お金は入らない、というような時代に今なっている。

しっかり助成金をとった山は、1本あたり2・3千円返ってくる時もありますけど、それでも微々たるものです。
昭和45年あたりは(しっかり利益が出ていたので)20万人以上いた林業者が今は5万人しかいない。 高齢率が30%弱と言われてるんですけれども、現実は山へ行くと大体皆さん40代・50代で、主流60代、70代もいます。

(藤原)

全国で5万人しかいないんですか?

(相根)

だからもう絶滅危惧種に入っているんですね。 さらに、山からの収入が平成10年あたりで35万とか51万円とか、
平成20年で10万5千円で、今やもう山を持っている事が負債になる。

(藤原)

それじゃ、ここ10年で大きく減ったんですね。

(相根)

こういう状況だから5万人に減るのは当たり前ですよね。
後継者も出ない状況なので、どうしてもそこをクリアしなけれいけない。
全国何処もいろんな取り組みをやりました。
たとえば今、森林林業再生プランって、ドイツ林業に学んで国が大規模林業をやろうと、いっぱい団地化をしてやろうとしているんですけど、ただでさえ疲弊している林産地に1億円以上の、要は1台5000万とか8000万円もする機械を何台か入れて1億何千万円の投資をして、林道も4m位の豪華な道をつけて、それで林業をやりなさいって成り立つ訳がない。
誰が考えても無理です。それを推奨してるんですよ。
うまく行きっこないし、日本の山は急峻だから水の流れが川に落ちる速度が速いんです。
そうすると、4mの道路をつけると、どんどん崩れちゃうんです。
造った傍から大雨や台風で崩れていっちゃう。
それをまた補助金つけて、林道を造る。イタチごっこなんです。
だから結局高性能機械は使われていない。眠っているという、だから機械の 墓場と言われているんです。

(藤原)

凄まじい事ですね。

(相根)

ちょっと可哀想な話は、四国の方で国の施策に乗って機械を買って大規模をやろうとして、やっぱり行き詰まって自殺された方がいらっしやるんです。
我々は国が殺したと言っているんですけど、それは当たり前の話でして、そうじゃなくて、我々は林業が成り立つ仕組みを見つけました。
というのは、高知の方で土佐の森方式というのをやってまして、それは小規模林業なんです。
我々の仕組みで、一気通貫でやると利益が出ます。
小規模で、自分の山を自分で切り出す。そうすると晴耕雨読の暮らしをして、年収700万円位稼いでいる親子がいます。親子で1400万円を毎年稼いでいます。
林業で、専業で。
それは、2m位の細い林道を、ミニユンボを使って自分でつける。
そして、天気の良い日だけ(大体週休3日制)で、年収700万円をコンスタントに20数年(30年間近く)得ています。成り立つんです。

(藤原)

そうなんですか

(相根)

その道だったら短いし、だから細い道路は山肌も沢山切らなくいいんですよ。
道を大きくとると、山肌を大きく切りますね、小さいと小さく切ればよいのでほとんど胸位までのカットで済むから、山肌が壊れないですね。
上から見ても、外から風景を見ても道があるように見えないから、風景も壊さない、生態系も生きていますという暮らしが十分できるんですね。
今、その考えを取り入れた林業者が着々と増えてはいます。
それを自伐林業とか、小規模林業とかって言い方をして、すると林業そのものが成り立つ。頑張れば1000万円位稼げるんですよ。

(藤原)

ちょっとやり方をお差し支えない範囲で教えてくださいますか?

(相根)

大規模林業リスクが高い:収率作業を分離しているとか、要は森林組合とかに自分の山の管理を委託するんですね、普通は。
そうすると、委託した人件費は当然かかりますよね。
そこで人件費を多く取られて成り立たない。
だから自分が兼業でサラリーマンや農業をやってもいんんです。
それで自分の山は林業にすると、そうするとまるまる自分の人件費は利益になりますので、それで成り立つという簡単な仕組みです。

まず、山林地主さんが山に直接入ると、作業すると。
だから、作業することと所有とを分離しないで、一体としてやるのが自伐林業です。それが第一ですね。 それでも、歳をとったり後継者がいなくて困っている人達がいます。
日本は大体2、3ヘクタール位のの山しか持っていないので、それを10人から20人位集めて、50、70、100ヘクタール集めると効率が良くなります。
そういう集め方で、代わりにやってあげるよと、余分に出た部分は少し返してあげる位にして、所有者達を集めて自分で生業する。
そうすると、1日に3〜5立方メートルでも、大体1万2、3000円なので1日、3〜4万円の稼ぎになるんですね。
30万位稼げば、年間700万円ですよね。
ということは、10日働けばよいので週休3日制って言うのが判りますよね。
晴耕雨読なんですよ。
設備投資も、林内作業車(フォワーダ)が新品で120万円位、ユンボが新品で4、500万円位で中古を買えばいいでしょうもっと安いやつを、あと軽トラックでいいんです。で十分林業がやれちゃうんです。
そして、皆伐しないで、うまく択伐して(良い木も悪い木もちゃんと混ぜて)
市場に出していく、長伐木といって4、50年で切らないで70年以上で切っちゃう、すると1本あたりが高く売れる。
こういう林業に持ち込めば十分出来る。
これが高性能林業機械で1億とか1億数千万円とかしちゃう訳ですね、労働時間が大変長い、4人1班で雇用も余り拡がらない。
ところが、小規模林業は人海戦術なので雇用がいっぱい作れる。
すごく大きな違いがあって、それで集約林業単一でガンガン皆伐していくんですけど、自伐林業はこれ以外に山菜を作ったり茸を採取したりとか徳用林産物を採ったりとか複合していけるんです。
保水能力も有るし、山もミネラル豊富なのでアグロフォレストリーも出来ちゃう、すると、年間700万円が可能になるという事なんですね。
こういう小さい機械、これをロープで釣って、道路をいっぱい付けないでもロープで引き上げていって、道が沢山付けられればこのロープはいらなくなるんですが、道が付く迄このロープを、このロープのセットで25万円位です。

(藤原)

これはよくある様なケーブルですか?

(相根)

ケーブルに近いです径架線といって、それを林内作業車に引っ張るウインチが付いてるんですね、それでぐうっとこう持ち上げてやる。
1本1本出して、1日1、2、3立方メートル出せば十分なので、そうすると山が綺麗になって幽玄な森になって気持ちが良い。
そうするとここからミネラルとかフルボ酸出て、海も陸も綺麗になるって事が出来てきます。 一昨年のもの凄く大きな台風の真っ只中に行きました。山を案内して貰いました、気持ちよかった、清々しい、水捌けメチャメチャ良くてどこも一カ所も壊れていなかったです。
前から確認したかったんです。本当でした。
他の所は土砂崩れが多かったですこの日、こういう山が作れる技術が既に有るんですね。それを連携して我々今宮城県・栗駒山と15年位一緒にやって来ました。栗駒山でも自伐の小規模林業をやり始めていて、これから世に出して行こうという活動をしています。

(藤原)

よく林業地帯でも、切った後どう加工するか、それからどこに売るか、
出口が無くて結構皆さん困っている感じがするんですが、その辺んどういう感じですか?

(相根)

林業についてついでにもう一個、山地酪農といって、こういう下草刈りって一番辛いんですよ。虫は来るは、蝮は来るはで、嫌になっちゃうんですね。
牛を入れてやると半年後でこうなるんです。

(藤原)

牛が下草を食べちゃう

(相根)

それから牛が歩くので、枝払いと言って枝を折ってくれるので、節が無くなって良い木になるんです。
牛は無肥料・無農薬の安全な草を食べているので、ミルクが美味しくてアレルギーの子も平気で、ぐいぐい飲めちゃうんです。
でこういうのを硝酸体窒素の問題があるって言うんですけど、1ヘクタールに1頭か2頭だったら、全く問題はないです。分解してしまいますから、むしろ循環ができる。
そういう事を組み合わせて、今栗駒では雇用も10倍以上増える、年収も増える、こういう山にも出来る。
で、先程言われたように、それじゃどうしようと、我々は住宅マーケットを大都市圏で作ろうと思ってるんですね。
大都市圏で大体100軒位一塊で作ろうと思っているんですけど、その前に山で林業は成り立つぞというのは来たんですけど、その間に製材さん、??屋さん、市場、原木市場、製品市場、問屋さん、商社が入り混ざっているんですね、これで少しずつ利益を取ったら、それは成り立つ訳がない。
我々は林業を含め一つの組織にした。こういう事ですね。
林業から製材から加工から木材乾燥、これも低温の乾燥機がローコストで1/10位で、4、500万円位で出来ちゃうんですけど。

(藤原)

あーそうですか、そんなんで出来るんですか?

(相根)

それも開発しました。
ここで木材の柱梁という構造材だけでなく、板材とかフローリングとか家具、扉、木枠、外壁の板、システムキッチンも作ってます。 そうすると、ここで沢山仕事が出来る上に、付加価値が付くから売り上げが上がる。 今、この辺を歩くと2000万、3000万円の豪華な木造住宅がありますよよね、でも林産地から一軒の木材の売り上げは80〜100万円なんです。

(藤原)

それだけしか無いんですか?

(相根)

売り上げがですよ、しかもそこの粗利益は10%以下です。
家一軒売って、10万円粗利益がないんです。
だから山って疲弊しますよね。我々はこういう風に、柱梁だけじゃなくてありとあらゆる物を作り込んで、大体家1軒あたま500万〜700万円を山に発注します。

(藤原)

そんなにですか?

(相根)

それで、粗利益を目標20%(今18%位です)を上げると1軒あたまで大体100万〜200万円の粗利益が出るんですね。
そうすると加工した人たちは十分お給料が貰える、さらに山にもお金が落ちて管理ができる様になる。 林業は単体の産業ではなくて、我々は複合した全体の住宅とか家具を作る工程の一つだという見方をしています。
そして、トータルで成り立つんです。
まだ低いですけど皆さんにちゃんと給料を払って、助成金なしでやる仕組みがこれで出来ました。

(藤原)

そうしますと、普通の家よりもかなり多くの木材を住宅で使う事になりますね。普通の家よりも、たとえばどのように変わって行くんでしょうか?
普通の所謂、ハウスメーカーの木造住宅と比べて。

(相根)

ハウスメーカーの木造住宅というのはなかなか難しいんですけど、我々は木造もどきという言い方をさして貰っています。申し訳ないですが(笑)
それ何でかと言うと、木材の例えば柱とか梁とかの構造材は、小さな板をカラカラに乾かしてボンドで貼り合わしているんですね。
それで木の特性が無くなるような作り方、吸湿能力もボンドのところで止まりますよ、それでカラカラに乾かすので皮下筋繊維が割れてる、だから強度がどうなのか私はすごく疑問なんですけど
で、そういう木材の柱梁の構造材で作ってる、木の特性が余り活きない。
だから何百年持つかってデータは無いですよ。

(藤原)

そりゃそうでしょうね

(相根)

30年とか40年とかそれ位長くても、今後どうなるんだろっていう、それと床材にしても薄い板をボンドで貼り合わせて最後に化学塗料でコテコテに固めて吸湿能力もないし、一見木のように見えますけど、扉とか家具なんかだと下地はボンドと木の屑を貼り合わせたようなボードの上に塩ビシートを貼って 木材に見える。だから、こういう物ばっかりで覆われている訳ですよ壁はビニールだったりする訳でしょ。
そうすると木材が柱梁だけだったら、そりゃ100万円位しか売れませんね。
あとは工業製品ばっかり、そういう作り方と我々が無垢の木でそのままで作ってあげる。そうすると、例えば木材はセルロースという繊維質の物とリグニンというそれをくっつける糊の役割をしている物、それを絡めるヘミセルロースというのがあるのですが、主にセルロースとリグニン。
先程カラカラに乾かしてボンドで貼っていると言いましたが、今は120℃位の高い温度で乾かすんですよ。そうすると接着剤の役割をしているリグニンが80℃以上位で動くと言われているんですね。
これは市場に出回っている普通の乾燥木材ですが、1cm位剥いたんですね、全部中割れていました。
それから樹液も残っていない、スカスカでミイラみたいになっている。
これってどれだけ強度があるんだろうって疑いますよね。
瞬間的な強度測定をすると、木材はバラツキが多いから、バラツキの中に入ってこれが弱いという評価が出来ない、だけど弱いですよ。
こういう物で継ぎ手なんかを作りますよね、パキッと折れます。
集成材ってもっとカラカラに乾いていないと糊が付かないです。
カラカラですね、樹液も無いですね。だから木材もどきという言い方をしています。
我々は40℃とか60℃とか、リグニンが動かない温度でゆっくりとサウナより低い温度で乾かすんです。そうすると樹液が残って割れてない訳ですよ。
木本来の良さが生きていて、大工さんも加工してくれると昔のつやつやの木だとよく言ってくれます。
そういう作り方で作るんで、木造住宅でこっちで作らないと生きた木ではない今多分99%出回っている材木は、カラカラに乾燥した木です。
木材学会も最近は高温乾燥した木材はよろしくないというコメントを言い始めました。
随分我々は運動しました。最初は嫌がられましたけど、言い始めて変わったかと言うとまだ変わっていないんです、でも状況としてはそういう認識が出てきたと我々はこういう木を活かして、さらに木材の垂直圧縮荷重は強くて、コンクリートより2割くらい強度が高いんですよ。
柱をいっぱい作ると、圧縮強度で保ってくれるので、非常に強靱な地震に強い家ができます。
構造計算すると、そんなにコンクリートとの差は無いでしょうけど、バランスから言ったら、多分木造の方が耐震性があると思います。
木材をちゃんと生きたまま使ってあげて、それを垂直荷重にちゃんと保ってあげるように作る。
さらにここで大事なのは、木材は地面に生えますよね。それは引力に逆らって成長するので細胞もそのように出来ている訳で、そのまま使ってあげれば圧縮荷重に強いんです。
でも、最近はコンピュータでカットして適当に組み立てるので、逆さ柱(天地反対)がめちゃくちゃ混じっています。
普通に考えてもそれは強くないですよね。データを取ると木材はバラツキが 大きいので、そのバラツキの中に入ってしまい、科学的には弱いとは言えない、だけど経験的には弱い。
ということがあって、木材を活かしてあげて、素材を素直に使うと言うことがとっても大事なんで、低温で強く樹液も残って本来の木である、さらにその木を木っ端などで燻してあげる低温乾燥機を開発したんですね。
60℃以下こっちは40℃以下なんです。するとこんなにツルツルなんです。
普通は鉄板で蒸気をブンブン入れて5000万円とかの機械で蒸しています。
我々は低い温度でちょっと暖めて、それを木が吸って外に湿気を吐き出すという理論なんです。それだと4,500万円で出来ちゃうんです。

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