新生日本の国家ビジョン「グレートコラボレーション = 偉大なる共生社会の建設」

第3章ロハスな生き方

1.ロハスという言葉を知っていますか

ところでみなさんは、ロハス(LOHAS)という言葉を知っていますか。ロハスとは米国の社会学者ポール・レイ氏と心理学者シェリー・アンダーソン氏が提唱したLifestylesOfHealthAndSustainabilityの頭文字をつないだ造語で、「健康や持続可能性を重視するライフスタイル」を意味しており、よりわかりやすく、心と体、地球に優しいライフスタイルとも呼ばれたりしています。それは人々の意識改革を促して、健康と地球環境を大切にしながら様々な側面でライフスタイルを変えていこうという動きで、具体的には食品分野では有機・無農薬栽培、自然食品、安心して使えるサプリメント、伝統製法、自然農法、スローフードなどに焦点を当て、また健康や自己開発ではオーガニックな原料を使った化粧品、自然治療、鍼灸、統合医療、ホメオパシー(同種医療)、ヨガ、フィットネス、ヒーリング、アロマ、精神性向上セミナー、スローライフなどを指します。さらに建築・交通分野では建物再生(リノベーション)、環境に優しい家やインテリア、グリーンな都市計画、グリーンな交通手段などが注目され、エネルギー分野では代替エネルギー、再生エネルギー、省エネルギー、エコドライブ、リサイクルなどが含まれます。そしてそれ以外にもガーデニング、エコーツ ーリズム、新しい学校、景観の復元、社会的責任投資など、非常に広い分野でロハスの考え方と実践が浸透しつつあります(ロハスについてもっと詳しく知りたい方は、www.google.co.jp等の検索エンジンに「ロハス」と入力して検索してください。関係するサイトが無数に出てきます。ロハスを主題にした雑誌もありますし、本や映画や音楽も出ています。雑誌、本、映画、音楽についてはインターネット書店のひとつ、www.amazon.co.jpなどで「ロハス」というキーワードで検索してみてください。きっと今までロハスという言葉を知らなかった人も、実は自分もロハスな生き方をしている仲間の一員なのだということにすぐに気づくと思います)。

2. 子供が大人になったことを実感する時とは

ロハスは欧米でも日本でも非常に大きな速度で世の中に浸透しつつある考え方であ り、それが人々のライフスタイルを次第に大きく変え始めています。各業界や分野ごとに見れば単なるひとつの流行のように見えながら、ロハスはすべての分野を横断してどんどん内容が進化しているのが特徴で、ひとつづつの商品や流行を見ているとそれだけにしか見えないものが、すべてを横断的に見ると、そこにはひとつの新しい価値観が、人々のライフスタイルの変化を通じて、多くの日本人の間に定着しつつあることがわかってきます。それはちょうど右も左もわからない子供が成長して分別ある大人になっていくときの姿と同じです。我々は子供の話し方や行動や服装や時間の過ごし方が次第に変わっていく様子を実際に目で見ることで始めて、子供が大人になっていくのだなと実感するわけです。すなわち子供と大人の境目というのは名目的には年齢や容姿の変化で判断されますが、我々がそれを実感するのは実際の行動があらゆる場面で子供の行動から大人の行動に変わったときです。(3)ロハスとは「総合的」なライフスタイルの変化 まさにロハスで人々が変わり始めているというのも、同じような状況なのです。すなわち個々の分野での変化を個々に見れば単にそれだけの変化であり、新たな流行かもしれません。また健康を大切にするとか、持続可能性という言葉も昔から使われている言葉かもしれません。さらにロハスのなかで取り上げられる商品やサービスも、その多くは昔からあるものかもしれません。では何がロハスで変わりつつあるのかというと、次第に多くの人々がその人のライフスタイル全体をロハスの考え方に沿ったものに「総合的」に変えつつあるということなのです。すなわちどのようにロハスが世の中に浸透しつつあるかを見ると、個々の分野が流行にしたがってつまみ食いされていくというのではなくて、ある種の価値観、考え方を持った人が、「総合的」にライフスタイルのあらゆる側面で行動を変えていくという姿なのです。それはまるで子供が大人になるときに生活のあらゆる側面で行動が変わっていくときとまったく同じ状況で、実は今の日本では人が子供から大人に変わるときのような非常に大きな変化が、水面下で静かに進行しているのです。それはロハスという言葉に連なる動きを見ているとよくわかるのです。実は日本人は既に目に見えないところで、大きく変わり始め ているのです。20世紀型人間から21世紀型人間に、日本人は今、進化を遂げている真っ最中なのです。

3. 21世紀型日本人の予感

ロハスというのは非常に広い範囲のライフスタイルを「総合的」に表す言葉ですから、IT革命などという言葉と同じように、時代の変化と共に内容もさらに進化していくと思います。基本は健康と持続可能性ということですから、それは我々の生活のあらゆるところに応用ができることなのです。ということは我々日本人はこれからどのような姿になるのでしょうか。21世紀型人間が今、ロハスを通じて生まれつつあるとして、その行き着く先に見える日本人というのは一体何を求め、何を大事にし、何を「成功」の定義として生きていく日本人なのでしょうか。大きな時代の変化というのはまず第一に、回り舞台が回るような要領で起きるものです。すなわち今までの時代が完全に終わる前に、次の時代の舞台や役者が裏側で用意されていて、表の舞台と役者の役が終わると同時に裏が表に変わるのです。すなわち大きな時代の変化の予兆、準備は必ず今の時代のなかにあります。ですから今の時代をよく気をつけて見ていくと、そこに次の時代の舞台と役者の姿が見えてきます。第二に大きな時代の変化というのは、ちょうど富士山を上るときと同じように、まったく違う場所からそれぞれ登山道を登り始めても、最後は同じ頂上に到達するようになっているということです。すなわち今まで全く関係がなく、相互に独立して動いていた人たちが、最後にみな同じ場所で顔をあわせるようにして次の時代の役者が揃っていくということです。そう考えると今のこのロハスの動きの延長線上に、―ただしロハスに限ってということではありませんが-、21世紀の日本があり、ロハスを通じて無数の21世紀の役者が次の舞台に上りつつあると考えてよいのではないかと思うのです。では一体彼ら・彼女らは何を求め、何を大事にし、何を「成功」の定義として生きていこうとしているのでしょうか。

2011-08-27

藤原直哉


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